百人いれば、百通り

スウェーデンのデパート Åhlénsの、春のファッションキャンペーンが良い。

Öppet Modehus - Åhléns stora vårmodekampanj!


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"Hundra sätt att bära vårens nyheter"(春の新作の百通りの着こなし)をテーマに、一般人女性100人にプロがメイクとスタイリングをし撮影。様々な年代・体型・人種の女性が、お手頃価格のÅhlénsオリジナルアイテムから、スウェーデンのデザイナーズブランドまでを着こなしている。Åhlénsのキャンペーンは毎回ファッションにおける年齢の壁や性別の壁に疑問を投げかけていたりしてメッセージ性が強く、とてもスウェーデンらしいけれど、今回の広告はメッセージ性を感じさせつつも、女性達の生き生きした、自信に満ちた表情が素敵で、素直に「いいなあ」と感じられた。
「このブランドは若い人向け」だとか、「このブランドはこういうスタイルの人向け」だとか、そういう先入観を取り払えばファッションはもっと楽しい。サイトに載っている100人の写真を見ていると、若い人と50代位の人が同じスカートを着ているけれど、どちらも素敵だ。もし私がこれに参加していたら、どんなスタイリングをしてもらえたんだろう、なんて考えてしまった。

金曜日、コペンハーゲン2日目。

既に今回の旅行のメインイベントであるコンサートは観てしまったし、3回目ともなると観光スポットも一通り行った事があるので、この日は特にこれといって予定がない。ホテルで朝食を食べた後、部屋でぼんやりと「お昼はどこで食べようかな」と考えながらネットを見ていたところ、平日はディナー営業だけのちょっと高級なレストランでも金曜・土曜だけはランチ営業をしている店がいくつかあるようなので、評判の良いRADIOをサイトから予約。ホテルから歩いていける距離だったので、チェックアウトした後、ホテルの近くの古着屋をいくつか回ってからRADIOに向かった。

前日はもう真っ暗な時間だったし、周りを見る余裕もなく会場に入ったので気付かなかったけれど、RADIOは前日行ったコンサートホールの入口の真向かいにあった。Nomaでスーシェフ、Geranium(コペンハーゲン唯一の3つ星レストラン)でヘッドシェフを務めたという人のお店なのに、店構えはとても明るくオープンでカジュアルな感じ。まだ他に誰もお客さんが来ていないようだったので一瞬ひるみつつもドアを開け、「一名で予約してあるんですけど…」というと、サービスの人がとても感じよく迎えてくれた。ランチは430krの5コースメニュー、あるいは1皿115krで好きなものだけ頼むことも出来るというので、私はイカ、タラ、ポークの3皿と、グーズベリー入り自家製レモネードをお願いした。

まずはサービスで出てくるスナックのビーツ、ヨーグルトクリーム添え。

一皿目はヌードル状にしたイカとコールラビ、パセリのソース。ムール貝のスープで味付けしたタピオカを目の前でかけてくれる。イカはところどころ焦げ目がついていて香ばしく、ムール貝の旨みにパセリのソースがフレッシュな香りをプラス。 二皿目はタラとリーク、オニオンソース。上に乗っているのはオートミールで作ったフレーク。タラはもちろん、甘みのあるリークがしみじみ美味しい。ネギの大好きな私にはたまらない。

三皿目はポークとケール。絶妙なピンク色の柔らかなポークの上に、ケールとブリュッセルスプラウト。少し甘みのあるソースに、乾燥オリーブのトッピングがいいアクセント。

所謂ニューノルディックキュイジーヌ系のお店というと、やたらいろんな素材を組み合わせたり、やたら手間暇かけて調理した(5時間ローストしたものを10時間煮込んで一昼夜乾かしました、みたいな)複雑な料理のイメージがあったけれど、このお店の料理は、凝っていながらも素材の味を生かした素直な味だった。パンとレモンピール入りバターもとても美味しかったのでついつい進んでしまい、3皿でかなりお腹いっぱいに。これで385kr、コペンハーゲンの店としてはかなりお値打ちだと思う。

食事で満足した後は引き続き街中をぶらぶら。コペンハーゲンでは古着を沢山買うぞ!と意気込んで、帰りは買ったものを預け入れ荷物に出来るように折り畳みバッグまで持ってきたのに、実際にお店に入ると「この間服を大量に処分したばかりなのに、また増やすのか」と妙に冷静になってしまい、結局買ったのは一目で気に入ったセーター1枚だけ。あとは、好きなデンマークブランドMads Nørgaardで新作のカットソーを1枚買った。 見たかった店は一通り見て気も済んだので、中央駅に戻る前にコーヒーでも飲んで少し休憩しようとDemocratic Coffeeへ。店内に入ると、カウンターの前に、小さなお子さん2人を連れた見覚えのある顔のある男性が立っていた。一瞬「誰だっけ…」と考えたけれど、すぐに思い出した。NomaのRené Redzepiシェフだ。ただの似ている人かもしれないと思ったけれど、お店で売っているジュースについてバリスタの人に興味深げに質問している様子を見て、やはり本人に間違いないと確信。きっとどんな時でも、食べ物や飲み物について気になることがあったらああやって質問しているんだろう。Nomaには行ったこともないし、これから行ける機会があるかもわからないけれど、世界で最も有名なシェフのひとりを間近で観られただけでも、料理好き・食好きの自分としてはちょっと嬉しかった。

夕方にコペンハーゲンを出てマルメへ移動。昨年IDチェックが始まって以来、直通電車は走っていないので、まずコペンハーゲン中央駅からカストラップ空港駅まで行って、一度電車を降り、IDチェックを受けてマルメ行きに乗り換えなければいけない。私はこの一回限りなのでいいけれど、コペンハーゲンとマルメ間を通勤している人は毎日行き帰りにこれをしないといけない訳で、本当に大変だと思う。直通電車があった頃はコペンハーゲンからマルメまでは35分しかかからなかったそうだけれど、おそらく今は1時間弱かかる。これが原因で引っ越しした人や転職した人もいるというけれど、それも納得。無制限に難民の人が入ってきてしまっても、テロリストが紛れ込んで来ても困るとはいえ、何か他に方法はないのだろうか…と考えてしまうけれど、目視で確認する以上に確実な方法は今のところないのだろう。

マルメに着き、まずは駅のCoopで夕飯を調達。ストックホルムにあるStory Hotelが昨年新しくマルメにもオープンしたというので今回はそこを予約していたのだけど、Google mapsを見ながらホテルの方向に歩いて行くと、金曜の夜6時過ぎだというのに辺りは人気が全くない。ビルは沢山立っているけれど、全てオフィスビルなのかどこも真っ暗で、怖いくらい静まり返っていて、辿り着くまでドキドキしてしまった。ホテル自体は海沿いのビルの上層階(11階〜13階)にあり、眺めもいいし、インテリアもおしゃれ。中心部と反対方向とは言っても、マルメは小さな街なので15分も歩けば街の真ん中まで行ける。ただ、周りで夜や週末開いているお店は5分位歩いたところにあるセブンイレブン位しかないので少し不便だし、部屋にケトルがないのでコーヒーやお茶が飲めないのも残念。(冷蔵庫の中には無料のVitamin Wellが3本入っていたけれど)

部屋でコペンハーゲンで買っておいたハーフボトルのシャンパンを飲みつつ、本読んだりネットしたりだらだらして就寝。

木曜から3泊4日でコペンハーゲンとマルメへ。

大学生の頃からデンマークのバンドMewのファンで、一時期はファンサイトをやったりもしていた私には、いつか彼らのライブを本国デンマークで見たいという野望があった。しかし、スウェーデンに引っ越してきたことで実現の可能性はグッと高まったものの、ライブがあっても忙しい時期だったり平日だったりしてなかなか実行出来ずにいた。そこに去年の夏、Mewコペンハーゲンフィルが共演するスペシャルライブが2月にあるという告知を見て、「行くならこの機会だ」とすぐさまチケットを予約。しかし、チケットを予約した時点では公演は半年も先だったので、すっかりその事を忘れてしまい、気がついたのが2週間前。慌てて上司に休暇のお願いをし、飛行機とホテルの手配をし、やっと具体的な予定が決まったのだった。

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